―存在とは何か

真理への飽くなき追究

病気を治したのは誰なのか?―医者と免疫学者の対話

病気を治したのは誰なのか?―医者と免疫学者の対話
 
医者「およそ、人類の中で最も、有益で、素晴らしく、尊重され、誰もが一度は憧れる職業、それが医者ではないでしょうか?つぎに、薬を作る、製薬関係の研究者や技術者でしょうね。なぜなら我々は人命を救っているからです!およそ、この世の中に、これ程、直接的に人の命を救い、感謝される職業がありましょうか?」
免疫学者「全然。もし、職業に価値分別を付けるのだとしたら医者や薬を作る研究者も、靴屋や農業、商人やその他あらゆる職業となんら変わらないよ。」
医者「なぜですか?おそらく、あなたは今まで大きな病気を患った事が無いから、そういうのでしょう。もし、あなたが重い病気を患い、医者に診てもらって、渡された薬を使って治った時、あなたは考えを改める事になるでしょうね。」
免疫学者「あはは、面白い事を言うね。」
医者「何がおかしいのです?」
免疫学者「いや、あなたが、医者や薬が病気を治していると勘違いしているからですよ。」
医者「何をおっしゃているのです?私が診断し、病気を特定し、その病気に合った薬を患者が使って治った。どう考えても、医者とその薬のおかげでしょう?」
免疫学者「医者ともあろう方が本気で言っているのですか?あなた達がしているのは、薬という名の毒を患者に与え、患者の苦しみを和らげる代わりに、病気を悪化させているだけではないですか。」
医者「は?どういう事です?」
免疫学者「病気になって、熱が出たり、汗をかいたり、咳をしたり、下痢をしたりするのはなぜですか?」
医者「それは・・・体の中の免疫が、細菌やウィルスをやっつけたり、体から出そうとするからですね。」
免疫学者「そうですよね。熱や咳や下痢など、病期になった時の苦しみは、全て体の中にいる免役という医者が、細菌やウィルスなどをやっつけようと戦ってくれているおかげですよね?」
医者「はい。」
免疫学者「なのに、その苦しみを、患者や医者はあたかもそれが悪い事の様に捉えている。
その苦しみは、免疫が、病気を治してくれているおかげだと言うのに。なのに、その苦しみが悪だと勝手に決めつけ、その苦しみを取り除く為に、あなた達は薬という名の毒を与え、免疫の働きを抑える事で、病気と闘わせない様にしている。免疫の働きが弱くなり、熱や咳や下痢の症状は無くなりますが、細菌やウィルスをやっつけ、外に出そうとする働きが弱くなり、逆に細菌やウィルスは増殖する一方ではないですか。」
医者「確かにそうですが、患者が苦しいと言っているのですから、多少、細菌やウィルスを増やす事になり、病気の治りが遅くなったとしても、薬を与えて、免疫系の働きを弱めてでも、苦しみを取り除く、それが人情ってもんでしょうが。」
免疫学者「私も、毒、つまり薬を与えるなとは言っていません。ですが、薬とは毒の事であり、毒とは薬の事であるという事を忘れてはいけないという事です。」
医者「それは、もちろんです。だから我々も薬剤師という専門の方をやとって、適切な薬の量を患者に合ったように渡しているのです。」
免疫学者「そして、医者や薬が病気を治しているのではなく、病気を治しているのは患者自身だと言う事もです。あなた達、医者や薬がしている事は、病気を治しているのではなく、免疫を抑えて、苦しみを和らげる代わりに、病気を助長させているという事もです。」
医者「・・・そんな事いいますが、自己免疫疾患やアレルギー、花粉症などは、現に体を守る免疫系が過剰に暴走する事により、生じているではないですか。そして過剰に働いている免疫系を薬で抑える事は、病気を薬が治していると言えるのでは無いですか?」
免疫学者「あなたは勘違いしているようですね。咳やくしゃみ、かゆみや痛み、これらの原因は免疫系が暴走しているのが原因なのだと。違います。免疫系は暴走などしていません。体の中に異物や細菌、ウィルスが増えているから排除しよいうとしているだけです。」
医者「どういう事です?」
免疫学者「体の中や体の皮膚や粘膜等には常在細菌、常在ウィルスといった長い時間をかけて、人間と共生関係になった細菌やウィルスが無数にいるのです。しかし、体温が下がったり、栄養が適切な量取れなかったり、皮膚や粘膜が乾燥したりすると、この常在細菌や常在ウィルスが増えすぎてしまいます。増えすぎると共生関係にあると言えど、悪さをするので、一定の数まで下げる為に、免疫系が働き、熱を上げたり、くしゃみや鼻水をして、減らしたり追い出そうとしているのです。花粉症も同様に、他種多様の化学物質が花粉にくっついた物が目や鼻に入ってきて異物と判断され、排除しようとしているだけです。それを薬で抑えるという事は、どんどん異物や細菌、ウィルスを増やそうと助けているだけなのです。」
医者「じゃあ我々はどうしろと言うのです?」
免疫学者「いえ、今まで通りでかまいませんよ。しかし、薬が直接、細菌やウィルスをやっつけているのではなく、あくまで、異物や細菌やウィルスやを排除し、病気を治しているのは患者自身であるという事を忘れず、医者や薬の開発者が最も偉いなどとはゆめゆめ思わぬようにと言う事です。」
医者「・・・まぁ確かに一理ありますね。一番偉い等と言うのは少し傲慢であったかもしれません。」
免疫学者「いや、私も偉そうな事ばかり申して申し訳ない。」
医者「いや、こちらこそ。患者には対等に、真心をもって接していこうと思います。」
免疫学者「そう言っていただけてありがたいですよ。あ、そうそう、世界最高の医者をあなたは知っていますか ?。」
医者「あなたなら、きっと体の中の免疫とおっしゃるのでしょうね。」
免疫学者「いえ、違いますよ。最高の医者、それは死ですよ。どんなに苦しくても、辛くても、死が全て治してくれるのですよ。元々、不治の病など、この世に存在はしないのですよ。」
医者「・・・そうですね、死とは新たな生の誕生でもありますからね。医者としてこんな事言うと怒られてしまいますが、死が無いなら生も無い。死があるから生まれてこれた。生に感謝するなら、死にも感謝するべきなのでしょう。」
免疫学者「ええ、私もそう想います。」