―存在とは何か

真理への飽くなき追究

―哲学問答

―哲学問答
 
「人間とは何か?」
「考えるもの」
 
「神とは何か」
「無限の力」
 
「存在とは何か」
「考えられるもの」
 
「無とは何か」
「考えられないもの」
 
「心はどこにあるのか」
「宇宙の中に」
 
「何が最も価値あるものか」
「真理。
あえて言うが、精神にとって真理以外に価値のある何事も認める事が出来ないのである。」
 
「真理とは何か」
「正しく、善く、美しいもの」
 
「魂とは何か」
「真・善・美なるもの」
 
「私とは何か」
「意識するもの」
 
「理性とは何か」
「真理の認識に努める力」
 
「真理の認識に努める力とは?」
「複雑なものから、単純なものをつくる力」
 
「知性とは何か」
「単純なものを組みあわせ複雑なものをつくる力」
 
「精神とは何か」
「理性と知性よりなるもの」
 
「宇宙はどのように作られているのか」
「宇宙の精神によって。
即ち、宇宙の知性の力により単純なものを組み合わせ複雑なものが創られ
理性の力により、複雑なものから単純なものが創られる。
よって万物は絶えず流転する。
人間が物事を理解し応用する事に努め、破壊し創造する様に」
 
「対立物とは何か」
「在るものとそれに依存して成立するもの」
 
「なぜ対立物は存在するのか」
「あるものとそれに対立的なものとの組み合わせが
あるものだけの組み合わせより
最も美しい調和を生む為。
人間が創造という行為もすべて自然(神)の創造の模倣であり
最も美しき音色は高音と低音の組み合わせより生じ
高音だけでも低音だけでも生じない。
美味とよばれるものはある味付けとその対立的な味との組み合わせ
により生じ、甘味だけでも苦味だけでも生じない。
最も美しき秩序は
引き合うものと反発するものとの組み合わせにより生じ
引き合うものだけでも、反発するものだけでも生じない
もし世界に対立的なものがなければ、世界はこれ程、美しくもなく
調和もなく、ひどくつまらないものになっていただろう。」
 
 
「意味とは何か」
「有限の関係性より生じるもの」
 
「因果関係とは何か」
「無限の関係性から有限の関係性のみを用いた合理的な解釈」
 
「無意味とは何か」
「無限の関係性、あるいは一切の関係性をもたぬ事」
 
「宇宙に果てはあるか」
「果てがあったら、果てではない」
 
「何が神性なるものか」
「はじめがなく、おわりのないもの」
 
「時間とは何か」
「今の中にあるもの」
 
「何の為に存在しているのか」
「自己の能力を最大限発揮する為に」
 
「幸福とは何か」
「自己の能力を最大限発揮している状態」
 
「自由とは何か」
「運命により与えられた自己の能力を十分に発揮出来している状態」
 
「自己の能力とは何か」
「身体の能力と精神の能力」
 
「精神の能力とは何か」
「理性と知性の能力」
 
「どうすれば、精神の能力を向上させる事ができるか。」
「使い続ける事により。使わなければ低下する。身体の能力も同様。」
 
「最も難しい事は何か」
「汝自身を知る事」
 
「どうすれば分かるようになるか」
「分からないという事が分かるようになれば」
 
「どうすればより高い真理に辿りつけるか」
「より強く、真理を欲求し、かつこれに努める事」
 
「動物や植物も心(感情)はあるか」
「ある。」
 
「動物や植物になくて人間だけにあるものは何か」
「真理(ロゴス)を理解する力」
 
「考えるとは何か」
「考えている事を意識しつつ考える事」
 
「より深く考えるにはどうすればいいか」
「考えている事の前提となっている考えを考えてみる事」

「意思とは何か」
「欲望を伴った衝動」
 
「欲望とは何か」
「意思を伴った衝動」
 
「何が愛すべきものか」
「自己の能力を向上させるもの」
 
「何が憎むべきものか」
「自己の能力を阻害させるもの」
 
「なぜ人は愛し、憎むのか」
「身体は身体の能力の維持、向上を欲求し、かつこれに努め
精神は精神の能力の維持、向上を欲求し、かつこれに努める。
なぜなら、能力こそ身体と精神の現実的本質に他ならぬからであり、
自己の能力を発揮する為に、個物は存在しているからである。
故に、自己の能力を促進、向上させるものがあれば直ちに、入手、接近する事に努め、かつこれを愛し
自己の能力を阻害、抑制するものがあれば直ちに、破壊、逃避する事に努め、これを憎む。」
 
「他者から憎まれず、愛されるようにするにはどうすればいいか」
「他者の能力を阻害せず
他者の能力を向上させる事に努める事」
 
「なぜ人は自殺するのか」
「自己の能力を十分に発揮できないと諦めた時、人は生きる事を放棄する」
 
「人間にとって最も有益な力となるものは何か」
「人間」
 
「それはなぜか」
「人間にとって共通の利益となるものを手に入れる際、一人で行うより
二人で協力すれば、単純計算で労力と時間は1/2となる。
大勢で協力するほど、それだけ短時間でかつ価値あるものを見込める。
人間にとって協力して何かを成すという事以外に価値ある何事も見込む事は出来ない。
一方、自己だけに利益があり、他者に害悪となる事を手に入れる際
他者の協力は得られないばかりか、他者から活動を阻害される。
故に価値ある何事も見込む事は出来ない。
結局、自己にとって最も有益な事は他者にとっても有益な事となるのは必然的である。
故に人間にとって人間ほど有益な存在はいない」
 
「人間にとって最も有害な力となるものは何か」
「人間」
 
「この世で最もおそろしいものはなにか」
「人の憎しみとうらみ」
 
「最も気を付けるべき事は何か」
「人に憎しみを与えない事と人に憎しみを抱かない事」
 
「人に憎しみを与えない様にするにはどうすればいいか」
「自らがされたくない事を相手にも行わない事」
 
「人に憎しみを抱かない様にするにはどうすればいいか」
「憎しみの原因の原因を考える事。憎しみの原因を分散させる事が、人へ対する
憎しみを抑える事となる」
 
「それでも、憎しみを抑えられなければ?」
「憎しみの感情は自己の能力が阻害、抑制される事により生じる。
故に、出来る限り、自己の能力を促進、向上させる事に努める事。」
 
「人から憎しみを受けた場合どうすればいいか」
「避けられないのであれば、より大きな愛で接する事。憎しみと憎しみが向かう先は破滅である」
 
「最も愚かな生き方とは何か」
「家畜の様に生きる事。
即ち生きているとはどういう事か
存在しているのはいかなる事か
という最も重要な事を考えず
ただその場、その時の感情と欲望に支配され
下らない事ばかり考えて
生きて、死んでいく事。」

「最も善い生き方とは何か」
「自己の能力と他者の能力を向上させる事に出来る限り努め
共通の利益となる事の追求に他者と協力して努め
自己だけの利益となり、他者の害となるような事は控える様にする事」
 
「死とは何か」
「存在の変化」
 
「生とは何か」
「存在の変化」
 
「死後に待ち受けている事は何か」
「驚くべき事であり人間が想像も出来ないような事」