―存在とは何か

真理への飽くなき追究

意識について―のび太とドラえもんの対話

意識について―のび太ドラえもんの対話
 
のび太「うわ~ん!ドラえも~ん!」
ドラえもんのび太クン。今日はいったいどうしたんだい?」
のび太ジャイアンにまた殴られたよ~うわああああん」
ドラえもん「はぁ、のび太クン、それはお互い様じゃないか」
のび太「お互い様?!そんな馬鹿な!僕は一方的に殴られたんだ!でも、ボクは、暴力じゃ何も解決しないから、暴力は振るわないんだ!だから、ボクは無抵抗主義者だし、その事を知っているという上でボクはジャイアンよりも優れていると言えるんだ」
ドラえもん()じゃあ君はどうしたんだい?」
のび太「だから、僕はジャイアンより優れているという事を、しずかちゃんやスネオ達に知って欲しいんだ。ただ僕がジャイアンの暴力に甘んじているのは、ボクが無抵抗主義者であって、平和を愛する善人だってことをね、そしてジャイアンは悪だって事を。そして今こそ、同士を集めて、ジャイアンに立ち向かい、暴力は悪であって何も解決しないという事をジャイアンにも教えてあげる必要があるんだ。ねぇドラえもんも協力してくれるよね!」
ドラえもん「全然。何でボクが君のそんなつまらない事の為に協力しなきゃいけないのさ」
のび太「つまらない事だって?ドラえもん、君はまさか暴力を僕にふるうジャイアンの味方をするのかい?」
ドラえもん「はー、君は何を言ってるんだい?君もジャイアンに暴力をしっかり振ってるじゃないか?」
のび太「何を言っての?見てよ、この頬のあざを!ボクは一方的にジャイアンに暴力を振われたんだ!ジャイアンは即刻、罰せられる必要がある!」
ドラえもん「確かにジャイアンは拳で君の頬を殴っただろうね。でもね、それは君も頬でジャイアンの拳を殴ったとも言えるんだよ。この世界には、一方的に片方から片方へ影響を与える事は不可能なんだ。必ず「相互作用」が発生するという事を知らないのかい?今回の場合は物理では作用反作用の法則とか言ってるけどね。」
のび太「はぁ?頬でジャイアンの拳を殴った?馬鹿じゃないの?そんな事を言うのはドラえもんくらいだよ!」
ドラえもん「いやだって真実だもの。君はね「ジャイアンが殴った」→「君の頬は殴られた」と考えているよね。つまり君の頬が殴られた「結果」は、ジャイアンが拳で殴った事が「原因」だと考えているみたいだけど、この世界には「原因」と「結果」なんて無いんだよ。一般的に原因と結果をAだからBが生じた、つまりABと表してるけど、この世界には「相互作用」しかないんだから、ABとするなら必ずBAも生じる。つまりABなんだ。つまり、「原因」と「結果」なんて存在しないんだ。君は自己から脱する事が出来ないからいつまでも本質に気づかないんだ。価値とか意味とか自己からまずは脱しないと、本当の事はいつまでたっても分からないよ、のび太クン!」
のび太「・・・」
のび太「じゃあさ、ドラえもん、ボクが君のドラ焼きを食べても君は怒らないよね。なぜなら、ボクがどら焼きを食べたんじゃなく、どら焼きに僕が食べられたとも言えるんだから。じゃ、そういう事でこのおやつのどら焼きは、全部ボクが食べるねドラえもん
ドラえもん「それは同様に僕にも言える事だから、そのどら焼きはボクが全部頂くよ。」
のび太「・・・はぁ、じゃあいつもどうり、半分こか。」
ドラえもん「そういう事だね。」
のび太「あ、いい事思いついたよ、ドラえもん。今このどら焼きを食べるよね?食べた後、タイムマシンで5分前に戻れば、ボクは永遠にドラ焼きを食べる事が出来るよ!」
ドラえもん「はぁ、君は過去に戻るという事が分かっていないね。過去に戻ると言う事は正確には未来が予測できるという事であって、今より、過去に戻る事なんて不可能なんだよ」
のび太「どういう事?」
ドラえもん「つまり、なんらかの方法で、ここから光よりも早く進んで、その分、戻ってきたら、今より少し先に何が起きたか分かる事になるでしょ?もちろん、肉体は物質だから光より早く進む事は出来ないけど、意識とかなら可能なはずだ。重さもないし物質でもないからね。つまり、君の身体はここから動かないけど、なぜか意識は今から何が起こるか知っている。それが過去に行くと言う事だよ。」
のび太「じゃあボクがタイムマシンで5分前の過去に行くという事はつまり、5分後にどら焼きが無くなっているという事が、なぜか今分かると言う事?」
ドラえもん「そういう事」
のび太「なーんだ。そんな事過去に行かなくても分かるじゃないか」
ドラえもん「まぁもっと過去にいく事は可能だけどね。つまりもっと先の未来を予測する事は可能だ。」
のび太「要は、光より早く自分だけ動いて、その分戻ってくるという事でしょ?光よりはやく動いた分、未来の事が分かるって事だよね。あれ?それって普段、未来を予測する事と何か違いがあるのかな?」
ドラえもん「無いよ。実は未来を予測するって事は過去に行っている事と同じなんだ。僕たちにそれが可能なのは、意識が、光より早くすすんだ分、戻ってこれるからなんだよ。」
のび太「・・・うーん、本当かなぁ・・じゃあさ、過去にいく事が未来を予測する事なら、未来に行く事は、どういう事なのさ?」
ドラえもん「君がそう言うと思って、タイムマシンを用意しておいたよ。実はね、これ未来の科学技術により、生み出した光速で移動するただの乗り物なんだ。速度と乗車時間を設定する事によって何年後に行けるか決める事が出来るよ」
のび太「へー、じゃあせっかくだから1億年後の地球はどうなってるか知りたいなぁ!ドラえもん1億年後に設定して、それに乗せてよ!」
ドラえもん1億年後~?のび太クン本当にいいんだね?」
のび太「いいよ、人類や地球がどうなってるか知りたいんだよ」
ドラえもん「そこまで言うならボクは止めないけど。・・・1億年後ッと。設定終わり。じゃ、いってらっしゃい」
のび太「うん、ちょっと行ってくるよ!楽しみだなぁ」
ドラえもん「いってらしゃーい!(プププ。じゃあねのび太クン)」
 
しかしこの未来へいく事が出来るタイムマシンの原理は
光速で移動する乗り物に乗っているのび太自身も光速で移動する事により
のび太自身はそれ以上身動きがする事が出来ない事による。
つまり、物質は光の速さ以上で動く事は出来ないので、すでに光速で動くのび太
は、完全に静止している事と同じなのだ。血液はおろか、のび太のからだを構成している
物質はすでに光速で動いている為、身動きがとれず、代謝が行なえないのだ。
よってのび太の体は光速で移動している間、老いる事は不可能。
のび太1億年の間、光速で移動するので1億年老いる事はない。
そして1億年後、停止した機械から出てきたのび太は、1億年後の地球を見る事が出来るのだ。これが未来へいく事が出来るタイムマシンの原理である。
当然、光速以上の速度はこの乗り物は出せないので過去に戻る事など不可能であり、のび太1億年後の地球に取り残される事になる。
未来へいく事が出来るタイムマシンは片道切符なのだ。
しかし、そんな事よりも、恐ろしいのは、のび太を襲う1億年という圧倒的時間である。
 
1時間後
のび太(あー楽しみだなぁ、1億年後の地球か~どうなっているんだろう。帰ったらジャイアン達に1億年後の地球がどうなってるか自慢してやろう!それにしても長いなぁ、船内の時計は止まっているから分からないけど、もう1時間はたったんじゃないかなぁ、まだつかないのかなぁ)
 
24時間後
のび太(長い!いくらなんでも長すぎる!壊れてんじゃないのか?まったく、帰ったらドラえもんに文句言ってやる!)
 
1か月後
のび太(嘘だ。。まだつかない。。しかも体も動かないし、瞬き一つ出来ないから、この乗り物を止める事も出来ない。。眠る事も出来ない・・・暇だ、暇すぎる・・・)
 
1年後
のび太(・・・・・もう1年は経ったんじゃないかなぁ・・・食べる事はおろか口を動かす事も出来ない。。ただ意識があるだけなんて地獄だ。。)
 
10年後
のび太(・・・・・まさかと思うが、1億年後に行くって事は、1億年待つだけって事・・・・?
嫌だ・・もう死にたい。・・でも死ねない・・・)
 
100年後
のび太(・・・・・・・死にたい)
 
1000年後
のび太(・・・・そうか。。。ずっと不思議に思っていたが、体は動かないけど、この意識だけはある事の謎・・・つまり、ずっと昔にドラえもんが言っていたように、体が物質だから光の速度以上で動く事は出来ないけど、意識は物質じゃないから、光の速度の制限を受けないから、意識はあるんだ・・・・・なんて事だ。。。そんな事も知らずにボクはこの乗り物に乗ってしまった。。ボクは大馬鹿だ・・・)
 
10000年後
のび太(・・・・あ・・あ・・・・)
 
100000年後
のび太(・・・・・・・)
 
1000000年後
のび太(・・・・・・・・)
 
10000000年後
のび太(・・・・・・・・)
 
100000000年後
のび太(・・・・・・!!!そうかそういう事だったのか!ボクは永遠とも言える時間、己の意識と向き合い、ついに真理を掴んだぞ!!なるほど、世界とはそういう事だったのか!!!!)
 
プシュー。その時、ついにタイムマシンは止まり、扉が開いた。。
しかし、のび太は、もはやそこから動く事は無かった。
いや、もはや彼に動く必要はなかったのだ。