―存在とは何か

真理への飽くなき追究

第36章 歩行運動 「なぜ、目を閉じて歩けるか?なぜ障害物を避けて歩けるのか?」

―歩行運動の基本的な歩行リズムは脊髄の神経回路が形成している。
・片方の足を動かす時、抑制介在ニューロンを通して、反対側の足の動きを制御するニューロンは抑制されている。
・筋紡錘、ゴルジの健器官からのⅠa,bの求心性繊維の脊髄へのフィードバックが、歩行のリズムを生み出す。
 
―小脳は、歩行運動の、微調整を行なう。
・目を閉じても、(視覚フィードバック)が無くても、自分の思った通りに体を動かせる。これは、感覚フィードバックにより、小脳が運動を微調整してくれている為。
・小脳の損傷は、歩行は可能だが、歩行動作が正常でなくなる。アルコールを摂取した時の様な歩行になる。アルコールは小脳のGABA受容体を促進させる事で、小脳の働きに異常を生じさせる。
・小脳は、運動野などの上位中枢の運動計画と、末梢の感覚器官から上行性の入力を受け取る。2つの入力を比べる事により運動が計画通りに行われているか判断しする。運動が、計画通りに行われていない場合、運動の微調整を行う。結果、無駄の無い、滑らかな歩行動作を行なえる。
運動が計画通り行われている場合、感覚器官からの情報を抑制する効果がある。自分の足を触っても、くすぐったくないのは、この為。
 
・人間の2足歩行は4足歩行の動物に比べ、体を支えるのに、高度な平衡感覚と運動の微調整必要。人間の歩行は、小脳や運動野の調整が必要な為、脳が十分に発達していない幼児は歩行運動が出来ない。
 
―後頭頂皮質(視覚野の背側経路)は歩行運動時の視覚と運動の協調に関わる。
・歩いている時に、視界の障害物を避けて歩く事が出来るのは、後頭頂皮質のおかげ。
・視覚の背側経路は、物体の位置を認識する。体を、適切な位置に持って行く運動の調整に関わる。
・障害物を避ける時は、障害物の位置を認識する。障害物を避ける為の、適切な位置に足を持って行く事が必要。
・後頭頂皮質のこれらの大まかな情報は運動前野、運動野に送られる。そこで、さらに詳細な運動計画が立てられ、脊髄の運動ニューロンに送られる。また、脊髄に送った情報と同じ物を小脳にも送る。
・実際に行った運動は、感覚器からのフィードバックから、脊髄を通って、小脳に送られる。小脳では、計画通りに運動が行なわれているか、常時監視され、運動中も適切な運動になる用、微調整される。