―存在とは何か

真理への飽くなき追究

他者から評価を求めてはいけない

―自分の評価は自分自身が行なわなければいけない。
・自分を他人が正しく評価するのは不可能。
・おもに人の評価は年功主義と成果主義
・年功主義は年齢が経つ程、多くの技術をもっているから、評価は高い。逆に年齢が経っていないと、持っている技術も少ないから、評価は低い。よって、年功主義は能力にあった正しい評価を行う事が出来るという物。
しかし、なまけて年を取った人は、頑張っている若い人より、能力が劣る場合がある。それなのに、年功主義で評価すると、正しく評価できない。
・以上の点から、成果主義が生まれた。成果主義は、年齢に関係なく個人の成果に合った評価を与えると言う物。ゆえに、個人は成果を出した分だけ評価されるので、やる気を上げるという効果が期待出来る。しかし、多くの仕事の成果は、個人ではなくチーム全体の力であり、各個人の成果を正しく判断するのは難しい。また、成果として数字に出ない(士気や雰囲気、相談や支援)事柄を評価するのは難しい為、かえってモチベーションが低下する場合もある。また、成果主義だと、成果ばかり求められ、汚職、不正、労働問題につながりやすい。
・自分の事を他人が完全に理解するのは不可能。自分の事は、自分自身が一番よく理解している。すなわち、自分の評価は自分自身が行なわなければいけない。
・他者に評価を求めると、他者の目ばかり気にして、他者から見られていなければ悪事もする、自分自身に嘘をつく生き方になる。
・自分自身に評価を求めると、他者に見られていようと、いまいと、どう思われようと、自分に正しく生きる事が出来る。
 
―なぜ他者に評価を求める人が増えたのか?
・日本の「褒める、叱る」という教育が悪い。
・そもそも、全ての人間は対等である為、人が上から目線で、他者を褒めてはいけない。
同様に、上から人を叱ることもしてはいけない。
・人間に上も下もない。あるのは前か後ろか。時間の差、年齢の差だけだ。
・故に尊敬する事も、見下す事もしてはいけない。尊敬した時点で、人を上か下かで見ている事になる。すなわち、そのような人は自分より下と思う人を見下す事になる。
・尊敬したり、見下すのではなく尊重しろ。すなわち、同じ人間として尊く大切にしなさい。
・「褒める、叱る」という教育は、他者から褒められる為に行動する人間、他者に叱られなければ、何でもする人間を作る。
・この誤った教育は、相手の為に行動する利他的な人間ではなく、自分が褒められる為に行動する利己的な人間にしてしまう。
・結果、自分が回りからどう思われているか、どうやったら褒めてもらえるか、そればかり考える自己中心的な人間が増えてしまった。
・他者から評価を求めてはいけない。ゆえに他者を評価してもいけない。
・「褒める、叱る」という教育は廃止しろ。
・「感謝、相手の身になって考えさせる」教育を行なえ。
・他人の為に利他的な行動が出来たら、褒めるのではなく「感謝」しろ。そのような大人の姿を見て、子供は、感謝する事を学び、他者の為に貢献する喜びを感じる。何かをしてもらう人間から何かをしてあげる人間に変わる。
・利己的な行動を子供が行なったら、「もし自分が相手だったらどう思うか?どう感じるか?」考えさせろ。そしてどうすればよかったか大人は一緒に考えてあげろ。
・人間が社会を形成する。科学、テクノロジーがよりよい社会へ変えるのではない。人間が変わらなければ、社会をより良い方向へ変える事は決してできない。なぜなら、科学、テクノロジーは使う人間によって、善にも悪にもなるからだ。教育が人間を作る。社会を変える。よって教育とはいつの時代も最重要課題である。
 
―教育の使命
・教育の使命は、難しい事を、理解させる、教えるのが目的ではない。
・人に何かを教える事は出来ない。自ら気づかせる手助けが出来るだけである。―ガリレオ・ガリレイ
・教育の使命とは、熱意を持って、魅力を伝え、興味を持ってもらえば、成功である。学びとは、自主的に行う物であって、強制する物では無い。興味さえ、持ってもらえれば、後は、自主的に学ん出くれるし、その方が、知識は血肉となる。
 
―この世に、安定など存在しない。
・故に安定な職業など、存在しない。
・川の流れは絶えずして同じ形にあらず。
・この世に存在する物は、あらゆる形で相互作用し影響を与え合う。
・宇宙は膨張し続け、エントロピーは増大し続ける。
・環境は常に変化し続けてきた、そしてこれからも変化し続ける。
・今、現在は激動のさなかにある。国立の大学であった、東大も2014年に法人化した。
今後、公務員も、法人化してくる可能性が高い。特に、公務員の様に、データを扱う仕事は、今後、AIの活躍領域となりつつある。
・企業が巨大であろうが、リストラや倒産は普通に生じる。リーマンショックなどいい例である。
・故に安定を求めるだけ無駄という物だ。安定を求めるのでは無く、環境の変化に柔軟に変化しないといけない。昨日の常識は今日の非常識。変化とは、進化である。
・また、環境の変化が起きる前に対策を取っておく事も、リスク管理と言える。
・自らを変える事が出来ない者は、環境の変化に取り残され、絶滅する。
・変化を恐れるのではなく、変化を楽しめ。
・故に、安定か、不安定化の選考基準はナンセンス。なぜなら、安定だと思っている物は幻想に過ぎないから。選考基準は、楽しそうか、楽しくなさそうかで決めろ。自分の楽しいと思える事なら、自分の能力を最大限発揮できるし、努力も苦にならない。楽しく無い事を努力したって、身につかないし成果も出せないし集中も続かない。何でもかんでも自分一人でしようとするな。楽しく無い事は他の人に任せればいいのだ。そうすれば、自分は楽しい事に専念できるし他の人の為にもなる。
 
―言葉には人を動かす力がある。
・古くから言葉とは言魂と言われてきた。
・言葉には魂が宿っているから、言葉は人を動かすエネルギーを持つ。
・言葉一つで、相手を癒す治療薬にもなれば、相手を殺す凶器にもなる。
・言葉とは、発した通りになるという力を持っている。ゆえに、言葉を発する時は、よくよく考えてから発言するべきだ。悪口や死ねなどの言葉は安易に発してはいけない。
・ネガティブな事ばかり言えば気分もネガティブになる。しかし、同じ事でも、ポジティブに捉えれば気分もポジティブになる。捉え方で幸にも不幸にもなる。
・失敗とらえるか、成長のチャンスと捉えるか。
・ただ不幸と捉えるか、それとも不幸の分、幸福もあると思えるか。
・失ったと思うか、借りた物を返したに過ぎないと思えるか。
 
―悪口以外に特に言わない方がいい4つの言葉。
1頑張れ/頑張ります。
・頑張れという言葉は、漠然としており、具体性に掛ける。さらには、ただ相手にプレッシャーをあたえかねない。うつ病など相手には特に頑張れという言葉は禁句である。相手を励ましたり、応戦する場合は、○〇について△△になる様に頑張れという様に具体的に言った方がいい。
2忙しい
・忙しいという言葉は安易に口にしない方がいい。忙しいという言葉は、自身に余裕を与えず、ストレスを与える。また、忙しいという言葉は、逃げであり、言い訳である。忙しいと言っていたら、その人は、死ぬまで忙しいままだ。
3めんどくさい
・特に若い人程、安易にこの言葉を多用する。真面目な事が、かっこ悪いとでも思っているのだろうか?私から言わせれば、めんどくさいと言っている人の方がかっこ悪い。
・めんどくさいという言葉を使うと、あわゆる事に興味、関心がなくなっていき、輝いた目が死んだ様な目に変わっていく。
・めんどくさいという言葉は、挑戦する意欲を失う。
・めんどくさいという言葉は、変化する事を恐れた言い訳にすぎない。
4普通
・普通という言葉を使う人はよくよく注意した方がいい。なぜなら、思考停止に陥っている可能性が非常に高いからだ。情報化社会になり、大量の情報に対し、ただ受け身で接し続けると、思考停止になりかねない。普通はそうだ、常識だ。このような人は、「なぜ?」という問いを忘れている。
・問題を解決する学者より、問題も見つける学者の方が偉大である。
・今後、AIやロボットの登場により、従来の人間が行なってきた仕事はAIやロボットに取って変わる。しかし、人間に出来て、AIに出来ない事は、問題を見つける事だ。すなわち「なぜだろう?」と考える事。質問力、問題提示力というスキルが、今後、人間がAI、ロボットに対抗する手段であり、生き残る道である。
 
―最も学習効果が高いアイトプット/インプットの方法
1 相手と直接、対話して教える。/ 教えてもらう。
2 講義、発表、文章に起こす。本の執筆。/ 講義、発表を聞く。本を読む
3 ネットでの情報発信。/ 情報収集
・直接会って話さなければ、伝わらない物が多い。動画や、文章では伝わらない、熱意、表情、雰囲気などが、案外、重要である。
・人間が最も成長できるは人間同士の直接的な対話である。
 
―コミュニケーションにおいて最も重要な事。
・相手をよく観察し、相手の話をよく聞く事だ。
・すなわち相手に関心を持たなければ、コミュニケーションはとれない。
・相手をよく観察すれば、相手の行動の意図や目的、気持ちを察する事が出来る。
・そうすれば、相手の心を打つ行動が取れるようになる。
・相手の話を全身全霊で聞け。言葉の裏に隠れる意図や感情に耳を傾けろ。
・コミュニケーションとは話す事が上手な人ではない。そのような人程、自分の事しか考えておらず、相手の気持ちを察知出来ていない。
・人間、特別な、能力や特技が無くとも、相手に関心を持ち、全身全霊で相手の話を聞くだけで、生きていける物だ。
 
―情報に接した場合、常に自分の中で①賛成意見と②反対意見を持て。
・この世界で、絶対に正しいといえる真実など存在しない。なぜなら、人間は、未来を正確に予測する事は絶対に不可能であるから、絶対に正しいとは言えないのだ。
・科学とは、からゆる事象の仮説であり解釈にすぎない。
・この世界は黒か白かではなくグレーで出来ている。
・賛成意見だけ、反対意見だけを持つと、偏見、固定観念となり危険。
・反対意見を持つ事で、より、視野が深まり、理解が深まる。反対意見に対する、自分の考えを持つ事ができる。
・賛成意見、反対意見、それぞれに対し、根拠を3つ提示せよ。3つ以下だと少ないし、3つ以上は多い。
 
―感謝の気持ちを持て
・ありがとうと形だけに伝えていないか?
・ありがとうと同時に感謝の気持ちも伝えているか?
・有難うの語源は、めったに無い→有り難い→有難う→ありがとうである。
・めったに無い事だから、感謝の気持ちを持って、伝えよう。
 

―どのように働けばいいか?

・どんな職業、仕事であっても、自分の仕事に誇りを持って仕事をしろ。

・どんな仕事であっても、たとえ、自分に向いてなくても、あまり好きでなくても、その仕事は必ず、他者に何らかの貢献をしている。だから、これだけは!と自分が自信が持てる事を誇りとプライドを持って一生懸命にやっていたら、必ず、チャンスは訪れる。次につながる。

 

―いろんな人との出会いを大切に。

・中のいい人とは、すなわち自分と趣味や考えが似ている人。たしかにこのような人との関係は心地がいい。

・しかし、自分とは異質な人からは、思わぬ考え方、生き方を学ぶチャンスでもある。

・ゆえに、様々な人との交流を通じて、人は成長する。

・出会えた運命に感謝すると共に、出会いを大切にしよう。

・恋愛もしよう。本当に訳の分からない事は恋愛をする事かもしれない。恋愛をする事で、この世界の不思議さを再認識出来るだろう。

 

参考文献 14歳からの仕事術 玄田 有史