―存在とは何か

真理への飽くなき追究

表面張力はなぜ生じるのか?

―表面張力とは何か?
・水の表面張力は電磁気力による力だ。
・すなわち、水と接触する、空間、物質との相互作用により、生じる現象。
・水は親水性。油は疎水性。空気(窒素や酸素)も安定しているので疎水性とみなせる。
親水性と疎水性はお互いに反発しあう斥力が生じる。その為、出来るだけ、お互い接触面積を少なくすることがより安定である。油の中に水を入れると球体になる。コップに入れた空気と接触している水の表面は球体になろうとする。球体は体積に対して表面積が最も小さくなる構造である。だから、球体になるのだ。
・逆に親水性同士、疎水性同士の間では引力が生じる。つまり、お互いの接触面積が大ききなる方が安定する。この場合、球体ではなく、平たくなろうとする。
・鏡の表面に酸化チタンでコーティングする。酸化チタンは光により、最外殻電子が励起する。励起した電子は反応性が高くなる。空気中の水分子と反応してOH‐を生成する。ラジカルなので、殺菌作用が有る他、親水性でもある。水との親和性が高く、鏡が曇らない。
・表面同士の電磁気力の反応を強める方法は簡単。お互いの表面積を増やせば、斥力であれ、引力であれ、表面における相互作用を強める事が出来る。
・ハスの葉に落ちた水はすぐに水滴となる。撥水性が高い。ハスの葉の表面を見ると、葉の表面は疎水性の油が出ている。それだけではなく、小さな突起が無数にある。つまり、疎水性の表面積が大きい。つまり水の親水性との反発力も接触面積が大きい分それだけ大きくなる。結果、直ぐに水は球体となり、葉からこぼれ落ちるのだ。
・活性炭には無数の孔が空いており、表面積が非常に高い。金属であれ、有機物であれ物質の表面は基本的に反応性が高く吸着力がある。なぜなら内部と違って、表面の原子、分子は、未結合の電子が存在するからだ。氷の内部では水分子は4つの水素結合を持つ。しかし氷の表面の水分子は3つの水素結合しかなく、1つは未結合のまま。だから、不安定なので、融点も低い。氷が溶ける時、内部ではなく表面から溶けるのはこの為。
 
―物質の色は大きく分けて2種類
・1つは色素。つまり、分子自体が、光を吸収する。一般的に2重結合が多くなる程、吸収する波長は大きくなる。吸収した光により、最外殻電子が励起する。励起した電子が元の軌道に戻る時、その軌道から軌道にジャンプするのに必要なエネルギーの分だけ放出する。これは、原子や分子に固有の波長となる。素早く元の軌道に戻る時、蛍光となり、ゆっくり元の軌道に戻る時、燐光となる。
・もう一つは構造色。光は通過する物質により、速度が微妙に変化する。つまり屈折する。しかし、100入れたすべての光が全て同じ様に屈折する訳ではない。一部は反射されたり、通過したり、屈折する。つまり物質を通過する際、光は乱反射する。乱反射した光は、自らの光により、光の干渉を起こす。光の干渉とは波長の山と山が重なり合うとき、光が強められる事。逆に大と谷が重なり合う時、光は弱められる事。
・反射フィルムの原理は簡単で、フィルムを張ると、光はフィルムの表面で反射した光とフィルムを通過した後に反射した光が光の干渉を起こす。この場合、ちょうど山と谷がぶつかるようなフィルムの厚さを設定すると光は干渉により消滅する。
・真珠の輝き、蝶の羽の輝きも構造色だ。真珠は炭酸カルシウムの層とタンパク質からなる有機物の層からなる。これらが何層も積み重なる事により、光の干渉が生じている。黒真珠は有機物の層の色素の色だ。
 
―ミュー錯乱とレイリー錯乱。
・ミュー錯乱とは、可視光の波長よりも大きな粒子(900nm~)を光が通過する際、錯乱される現象。ミュー錯乱は全ての可視光の波長を同じように乱反射する。牛乳が白く見えるのは中にカゼインミセルという、可視光の波長よりも大きな粒子が存在する為、光が乱反射するのだ。
・レイリー錯乱とは逆に、可視光の波長よりも小さな粒子(420nm以下)により生じる錯乱。レイリー錯乱は、短波長の可視光、すなわち、青色の波長をより強く錯乱する。地球の大気の水蒸気は可視光の波長よりも小さい。なのでレイリー錯乱により、青色の光が強く錯乱されるので、空は青く見える。
 
―サメはなぜ早く泳げる?
・サメは地球上で最も早く泳げる動物(時速35km/時)
・サメの肌はざらざらしている。リブレット構造と呼ばれ、頭から尻尾に向けて、髪の毛程の大きさの溝が無数にある。この溝がサメが泳ぐとき、無数の渦を生じさせ、その渦が水との抵抗力を弱める事が出来るのだ。リブレット構造は水着や航空機などあらゆる場所に利用されている。
 
―磁気ヘッドの仕組みとは?
HDD等のデータを読み取る磁気ヘッドの原理。磁気ヘッドは、薄い絶縁体を2つの磁性を持った物質でハンバーガーの様にはさんだ物となっている。この様な物質の特徴として、両方の磁石のN極はお互い反対方向を向こうとする。またこの物質に電流を流したと時、お互い逆を向いている時、抵抗値が大きくなる。逆に同じ方向を磁石が向いていたら抵抗値は低くなる。HDDの表面は01が小さな磁石の向きで表現されている。磁気ヘッドがHDDの表面を通過する際、HDDの磁石の向きよって、磁気ヘッドの下の磁石の向きも変化する。磁気ヘッドの上の磁石は変化しない様に固定しておく。すると、HDDの磁石の向きによって、磁気ヘッドの下の磁石の向きも変化する。磁気ヘッドの上の磁石は固定されているので、磁気ヘッドを通過する電流の抵抗値は磁気ヘッドの下の磁石が変化する度に、変化する。この抵抗値の変化をデータとして読み取る。
 
―シャボン玉の色が変化する理由
・シャボン玉は薄い水の層の両側を界面活性剤(親水性、疎水性両方の性質を持つ)で囲んだ物。薄い水の層の表面で屈折した光と水の層を通過した後にシャボン玉内で屈折した光が光の干渉を起こす事で、光が強められたり、弱められたりする。また水の層の厚さも変化するので、屈折率も変化する。時間が経てば、水の層は重力により、下に落ちていくので光を屈折する事が出来なくなり、透明なシャボン玉となる。ちなみに透明とは、光が錯乱や屈折せずに通過するという事である。
 
参考文献:身の回りの表面科学 日本表面科学協会