―存在とは何か

真理への飽くなき追究

火薬の話

―火薬とは、何か?
・単位時間に単位密度から放出されるエネルギーが髙い物質の事。
EPExplosive Power:爆発エネルギー)の求める式
EP=密度(g/cm^3)×単位質量当たりの爆発熱(kJ/g)×単位時間当たりの爆発速度(km/s
・以上の式から、威力の高い火薬は、密度が高い。単位質量当たりの爆発熱が高い。単位時間当たりの爆発速度が高い事が条件となる。
 
―火薬の燃焼速度(爆発速度、反応速度)が早いのはなぜか?
・ろうそくの燃焼の様に、反応速度が遅い理由は、酸素(酸化剤)の出入りが必要だから。
ニトログリセリンTNT(トリニトロトルエン)等の燃焼速度が速いのは、分子内に酸素(酸化剤)が含まれるから。その為、反応が自己持続型で系内だけで完結する。
 
―何から電子を奪いとるか?(すなわち何を酸化させるか?)によって、発生するエネルギーは異なる。
・燃やした(酸化させた)時、多くのエネルギーを発生させる物質の順。
BeLiBAlMgSiHTiCaPVCZiYCrNa
テルミット反応とは高温を生み出す反応の事。上記の順を見れば何を燃やせば(電子を移動させれば)、高温を発生させる事が出来るか分かる。
Fe2O32AlAl2O32Fe841kJ/molの発熱 (Alの最外殻の電子とFeの最外殻の電子は安定な酸素の電子軌道に移動しようと競い合う。この場合、Feの最外殻の電子が移動するよりも、Alの最外殻の電子が移動する方が、より安定になる。自由エネルギーが低くなる)
 
―自由エネルギーGとは何か?
・自由エネルギーの式(Gはこの式を考えたギブスさんのG
自由エネルギーのG=エンタルピー(電磁気力)H絶対温度T×エントロピーS
・すべての物質は、自由エネルギーが低くなる方へ自発的に反応が進む。
・つまり物質はより電磁気力(クーロン力)が低く、よりエントロピーが高い方へ変化する。
・反応熱=反応前と反応後の物質の電磁気力の差。
・発熱反応はエンタルピー(電磁気力)が低下する。吸熱反応はエンタルピー(電磁気力)が上昇する。(この式では発熱反応はマイナスとし、吸熱反応は+とする決まりがる。)
 
―なぜ発熱反応は生じるのか?なぜ吸熱反応は生じるのか?
・発熱反応が起こるのは、電磁気力を小さくした方が、多少エントロピー(乱雑さ)が大きくなっても、自由エネルギーが小さくなる場合。
例>Fe2O32AlAl2O32Fe Feの最外殻電子(-)が酸素の陽子(+)に近づくより、Alの最外殻電子(-)がOの陽子(+)に近づく方がより中性になり電磁気力は低下する。
>クーロンの法則
Fk×q1×q2/r^2 
荷電粒子の(+と+)(-と-)はプラスのクーロン力となり斥力となる。エネルギーが髙く不安定。
荷電粒子の(+と-)はマイナスのクーロン力となり引力となる。エネルギーが低く安定。
・吸熱反応が起こるのは、電磁気力を小さくするよりも、反応後の物質のエントロピー(乱雑さ)を増大させた方が、自由エネルギーが低くなる場合。
例>水(液体)→水(水蒸気) 2255J/gの吸熱反応。
・なぜ吸熱反応が生じるか?水の水素結合が切れる為。水は、δ-の酸素とδ+の水素が結合し、クーロン力をマイナスの力にする事で、エネルギーレベルを下げている。
しかし、水が水蒸気になるという事は、水分子がバラバラに動き回ると言う事である。よって、水素結合が切れ水分子の酸素のδ-と水素のδ+クーロン力がプラスになる。クーロン力は大きくなり、エネルギーレベルが上がるので、その足りない分を、他の所から奪うので吸熱反応となる。エネルギーレベル(電磁気力)が強くなる反応は自由エネルギーが髙くなる。しかし、エントロピー(乱雑さ)が爆発的に増加する。結果的に温度が高い時は水よりも水蒸気になった方が、自由エネルギーは低くなる。
 
ニトログリセリンが爆薬となる理由。
Nと酸素(酸化剤)炭素、水素(還元剤)を含んでいるから。
ニトログリセリンを燃やすと窒素(N2)と2酸化炭素、水が生じる。
RNRの結合が切れて窒素N2が出来る時、多くのエネルギーを放出する。
窒素の3重結合はクーロン力がマイナスで引力が非常に強い。他の物質との反応性が低い安定な物質である。反応前と、反応後のクーロン力の差が大きいほど、多くのエネルギーを放出する。
・水や2酸化炭素も+と-で結合しており、クーロン力がマイナスになる事で強い引力が生じる。エネルギーが低く安定している。反応後のエネルギーが低い為、多くのエネルギーを放出する。
―ダイナマイトとは何か?
ニトログリセリンを粘性があるニトロセルロースでゲル状にし、固めた。初期のダイナマイトは珪藻土植物プランクトンの化石。木炭の50006000倍の多孔質を持つ。物質の吸着性が高い。分析や抽出にも使えそう…)に詰めて使用していた。
 
 
―夏の花火の起源
・元々は江戸時代に徳川将軍がコレラ菌と飢饉の災厄を払う神水祭において余興として打ち上げたのが起源。
・タマヤ~の掛け声は、昔の花火師の事。主な花火師に玉屋と鍵屋があり、玉屋は12代将軍徳川家慶時に火事を起こしてしまい、江戸払いとなった。鍵屋は現在(15代目)まで絶えることなく続いている。
 
―花火の火薬の成分は?
黒色火薬。重量比は古くから十、二、一とよばれた。硝酸カリウムKNO3-)10、木炭2、硫黄1の割合。%表示だと77%、15%、8%。
・線香花火のパチパチとなる火花は燃えにくい松煙という物を使用する事で生まれる。成分比は黒色火薬と同じ。
 
―花火の色は原子特有の色
・花火の色は原子の最外殻電子が励起状態から基底状態に戻る時のエネルギーが光エネルギーとなった物。電子の軌道は量子化(とびとびの値)されている為、決まったスペクトルの光を放つ。Naは黄色。Srは紅。Baは緑。Cuは青。リチウム、カリウムは赤。
紫やピンクの色は元素を混ぜて火薬入れればいい。
白色はAlTi等のテルミット反応により2000℃以上の高温になると生じる。2000℃以上の高温になると白色の光を放つ。
 
―エアバックは火薬が使われている。
Nを多く含む有機物はN2になる時の反応熱により爆発的に反応が生じる。
・また、反応速度が速いため、瞬時に窒素が発生する。その為、火薬を爆発させる事により、瞬時に窒素を発生出来る。その為、エアバックに利用される。