―存在とは何か

真理への飽くなき追究

説得力を強くする方法

―説得力の公式
 
説得力=(論理的説明力+analogy説明力)×(正しい根拠+正しい主張)×信頼力(集団心理+権威+好意)
 
―論理的説明力とは何か。
・自分の主張を公理(万人が正しいと認める原理)に結びつけた説明の事。
・公理に結びついた説明はいかなる相手でも否定する事はでいない。
・例えば公理は「アリバイ(現場不在)証明が出来れば犯人ではない」とする。
>田中さんは犯行時刻には家にいた事が、この画像により証明できる(根拠)
>よって、田中さんは犯人ではない(主張)
・なぜ、田中さんが犯行時刻に家にいれば犯人ではないと言えるのか?という質問がされたとする。その場合、なぜなら「アリバイ(現場不在)証明が出来れば犯人ではない」という公理が成り立つからです。と説明出来る。公理が万人が認める原理なので、いかなる理由でも覆す事が出来ない。すなわち、まず公理が何か考える。根拠を公理と結びつける。
根拠に基づく主張を述べる。
公理-根拠-主張。
主張は公理と結びついているので、ちょっとやそっとじゃ覆せない強力な説明となる。
 
ABA=Bと勘違いするな!
・説明とは多くの場合ABである。
>人間は哺乳類である。〇
しかしABA=Bと勘違いすると、B=Aも成り立ってしまう。
>哺乳類は人間である。×(犬や猫も哺乳類)
またABの場合、非A→非Bも成り立たない。
>非人間は非哺乳類である。×(非人間である犬や猫は哺乳類)
ABの場合に成り立つのは対偶である非B→非Aの場合だけ!
>非哺乳類は非人間である。〇(非哺乳類のカメやセミは非人間である)
説明(AB)の対偶(非B→非A)は正しいから、通常の説明で相手に伝わらなければ、対偶で伝えてみればいい。
また、自分の主張が正しいか判断する場合、対偶に変えても正しいか判断してみればいい。
対偶を用いれば、2通りの説明が出来るのだ!
 
例>有酸素運動うつ病の治療方法だ。
対偶>うつ病を治療しない方法に有酸素運動は含まれない
ストレスホルモンの上昇はうつ病と関連性がある。
対偶>うつ病と関連性が無いリストにストレスホルモンの上昇は含まれていない。
有酸素運動はストレスホルモンを抑制する。
対偶>ストレスホルモンが減らない方法に有酸素運動は含まれていない。
よって、有酸素運動うつ病の治療方法となる。
 
analogy説明力とは何か?
analogy:アナロジー…類似、推類、相似。
analogy思考=パターン・マッチング思考=過去の経験・記憶と照らし合わせ、似たような事例があるれば、その事例に当てはめて考える。
例>目の前に犬がいる。(現状)
>過去に犬に噛まれた事がある。(過去の経験・記憶)
>この場から離れよう(analogy思考)
・過去の経験・意億を検索し、マッチングしそうな事例が無ければ、脳は論理的な思考を用いる。
例>目の前に犬がいる。(現状)
>大きくて狂暴そうな犬だな>離れよう(論理的思考)
>小さくてかわいらしい犬だな>近づこう(論理的思考)
analogy説明は「たとえ話」や「比喩」を用いた表現の事でもある。
例>あの人は、困ったときや、頼みごとをしても聞いてくれない。(通常の説明)
>あの人は冷たい人だ。(analogy説明)
>実際の温度ではなく、物の冷たさを比喩で表現する事により、説明したい内容が素早く伝わる。
 
―人間は、論理的思考法やりもまずanalogy的思考法を用いる。
・理由は論理的思考法は結論は正確性が高いが、判断するまでに理詰めで11つ思考する。その為、時間がかかる。これは、急に敵に襲われたり、競争相手がおり、瞬時の判断が命取りになる自然界では非効率。
しかし、analogy思考は、過去の経験・記憶に基づいて判断・行動する為、スピードが速い。
瞬時の判断が命取りになる自然界では有利。
その為、人間に論理的説明をするよりもanalogy的説明(たとえ話、比喩)をする方が、瞬時に素早く相手に伝わる。
例>脳の海馬とは記憶の保存場所ではありません。記憶するか、しないかを判断する場所は海馬であり、記憶を保存する場所は大脳皮質です。よって海馬が損傷しても過去の記憶が無くなる事はありません。(論理的説明)
>脳の海馬は図書館の館長だと思って下さい。図書館にどの本を保存するか決めるのが、館長です。本を保存する場所は図書館であり、館長ではありません。よって館長が居なくなっても図書館に保存した本が消える事はありません。(analogy的説明)
 
―たとえ話(analogy説明)の作り方。
・物の本質を見抜く。
・世界は相似であふれている。
・伝えたい内容の細部をそぎ落とし、出来るだけ簡潔にしてみる。
・伝いたい内容を小さな分類の特徴ではなく、大きな分類の特徴を書き出してみる。
書き出した大きな分類の特徴に当てはまる物がたとえ話、比喩のネタになる。
例>先ほどの海馬という脳部位の特徴を細部をそぎ落とし、出来るだけ簡潔にすると「重要な物と重要でない物の分別」となる。
「重要な物と重要でない物の分別を行う」という特徴で世の中に似た物がないか考える。
>インターネットの有害サイトをブロックするフィルターや、ファイアウォール
>自動でガラクタから、希少金属レアメタル)などを分離する機械。
>子供に、ゲームや娯楽番組を禁止させ、教育番組ばかり見させようとさす母親等・・
・たとえ話、比喩等の説明は、瞬時に相手に伝わる為、相手と、自分の時間短縮となる。
科学論文等でない限り、論理的な説明をくどくどと長く説明するよりも、たとえ話、比喩等で瞬時に理解してもらう方が、相手の為になる。
・たとえ話のセンスを磨くには、常日頃から、世界の出来事や物事の細部をそぎ落とし、シンプルにする事。本質を見抜く事。
 
―理解してもらう事と、同意してもらう事は同じではない!
・理解してもらう為には、論理的説明や、analogy(たとえ話、比喩)を用いればいい。
・同意してもらう為には、正しい根拠や、正しい主張でなければいけない。
つまり、根拠とならない根拠、公理と結びついていない根拠、主張の内容をいくら分かりやすく説明して理解は得ても、同意は得る事は出来ない。
例>日本は高齢化社会です。
>高齢者の割合と社会に対する影響は○〇の様に様々な問題が生じるというデータがあります。(根拠)
>よって、人は長生きするべきではありません(主張)
上の説明は、理解は得る事は出来ても、同意を得る事は出来ない事が分かる。根拠は正しいが、主張が正しくないからだ。
 
例>この薬を飲んだ場合、血液がサラサラになります。(主張)
>薬を飲む前と、飲んだ後のデータがこちらです(根拠)
>よって、この薬は血液をサラサラにします。(主張)
この場合、薬を飲んだデータだけでは正しい根拠とは言えない。薬と一緒に飲んだ水が血液をサラサラにした可能性もあるからだ。よって、この場合、水だけを飲む前と、飲んだ後のデータも一緒に提示しなければ、根拠となり得ない。
 
・人に説明する前に、そもそも、本当にこの主張、根拠は正しいか?考える必要がある。
嘘の主張や、嘘の根拠(データ)にいくら、論理的説明やたとえ話や比喩を用いても、相手の同意を得る事は出来ないのだ。